想い

光男さんが亡くなった。今年3月に会ったのが最後になってしまった。
美智子さんから突然の知らせに、驚きすぐにとんで行った。
「たろうくん」をとっても可愛がっていて、元気になった様子だったので安心していたのに
あまりの突然の出来事に、茫然としてしまった。そして、もっと光男さんのところに足を運べば
よかったと、後悔した。自分の用があったときだけ、顔をみにいくなんて、最低だ、と思った。
光男さんは、お父さんの9つ歳の離れた弟で、たぶん自分が赤ちゃんだったころ、まだ高校生で
私がもの心ついて、しばらくして家を出てしまったんだと思う。
お父さんと違って、やさしくて物静かで、文句ひとつ言わず黙ってやさしかった。
おじいちゃん、おばあちゃんが亡くなってから、ますます家には来ることがなかったし
親戚の葬儀や法事、お祝い事があるときくらいしか、光男さんに会うことはなかった。
それでも美智子さんと私は、ときどきは会っていて、「とこやのおばさん」と籍を入れたことも
知ってたし、そのご家族とも、本当の家族のように暮らしてたことも知っていた。
それを理解できず、反対してたのはお父さん。だからこの数年、まったく疎遠だった。
でも、光男さんが亡くなったことで、今まで言わなかったことを言えて
ちょっとすっきりした気分。
お父さんと光男さんをみてて、自分と彼女とのことを考える今日この頃。